No.111・はじめての中沢新一@レヴィ=ストロース氏追悼(2)

kneedrop2009-11-26

A world of 1200 letters 『1200字の言葉の世界』−10
「普遍の祈り」 DJ / KNEEDROP つづいてます。
糸井重里さんのNET番組でほぼ日刊イトイ新聞主催企画で2006年に「はじめての中沢新一」アースダイバーから芸術人類学へという講演録があります。
この番組の右下のKNEEDROPのアンテナにもこの番組にアクセス出来るように載せておきましたが第27回から第33回までに中沢新一さんがレヴィ=ストロースについて語っている箇所がありますので、とりあえず全文掲載してみて、重要な箇所だけ残し、レヴィ=ストロースを私なりにこの番組でみなさんへご紹介するために中沢先生の言葉を引用します。

中沢新一さんが11月5日に読売新聞の全国版でレヴィ=ストロースへ追悼文をだされました。この番組で前回No.104でもアクセス出来るよう掲載しましたが素晴らしい追悼文でした。レヴィ=ストロース氏をこのような見出しで褒め讃えました。見出しのタイトルは『彼の精神こそ私の神』これほどの賛美はありません。
私は翌日、この新聞を購入しました。
私が尊敬する中沢先生が人類学の師レヴィ=ストロース氏のどのようなところに感銘を受け、おそらくこれからも予測もしないことが起きえるこのグローバルな社会で。そして、この番組で私なりにレヴィ=ストロース氏の精神にまた少しでも近づきたかったですし、みなさんにも紹介したいと思ったのです。
中沢先生の講義録の言葉を何度も読み直すことで、これからのわれわれの住む地球のさまざまな問題に対し、突破口をひらける、そんなヒントが隠されているかもしれません。
では、その講義録を掲載してみます。(あとで短く掲載しますのでどうかお付き合い下さい・・・)

2006-01-15 第27回 レヴィ=ストロースに出会う
中沢新一さんの、イベントでのひとり語りをおとどけしています)
ぼくは、とてもしつこい性格を持っていて、中学生くらいのときに刺さった考えをずっと考え続けてきました。
中学生くらいの頃は、大きいことを考えたんだけれど、だんだんだんだん年をとって、おおもとのところで自分がしていた問いかけが見えなくなってしまいます。
そういうときにはいつも原点に立ちかえらなければいけない、と思い続けて、しつこくしつこくその問題を追及し続けてきたところがあります。
この考え方、つまり人間の知性の働かせ方の最も高度なものというのは、物事を分離して、分析するんじゃなくて
直感的に全体的に把握して、そしてこの世界からパワーを除去していくために働かせていくものこそが最高の知性であるというふうにブッタは言うんですね。
しかし、さきほどブッダの言葉として「7代前の考え方はこれだ」と言ったということは7代前の新石器的な人間たちの思考方法というのもそういうものだったろうというふうに結論した方がいいのではないか、と考えたんです。
そうした時にぼくの前にその人類学者が現れたんですね。レヴィ=ストロースは、もともとはお父さんが印象派の画家で子供の頃から、たいへん芸術的な環境に育ったのですが、長じて哲学を勉強しました。パリで哲学を勉強しましたね。
しかし、彼はこの哲学のあり方に、だんだん飽き足らなくなってくるんですね。それはなにか、人類の広大な経験と
思考の体験からすると西欧で哲学と言われているものがごく小さな条件付けのもとにある、ダービーのコースのようなちいちゃいコースの中でおこなわれている思考のレースのように思えて仕方がなくなった。
人類の思考はギリシャ時代にはじまりそしてどんどんどんどん洗練の度を増していった哲学のような思考方法の
ちいちゃなサーキットを抜けて、原野に出て、ジャングルに出ていって、山の中に出て行って、そして人類のあらゆる思考方法の可能性を探求する方法があるんじゃないかと思いはじめた……。
彼は若い時にブラジルに渡ってサンパウロ大学の先生になります。サンパウロに行けばアマゾンが近くて、アマゾンの中には先住民がいるというのがおおきかったと思います。
その人たちに出会って、その人たちの考え方を聞きたいと真剣に思ったんですね。
そこで、ブラジルサンパウロ大学へ出かけて毎週末ごとにジャングルの奥地へ出かけて行っては先住民に会って、その村に住んで神話を採集したり親族の作り方を研究したりということをして、そしてその結果、得た結論というのが、ここに生きている人たちは新石器時代生活様式をほとんど変えていないということですね。(つづく)                               『ほぼ日刊イトイ新聞〜「はじめての中沢新一」アースダイバーから芸術人類学へ』より
[rakuten:book:13082515:detail]

レヴィ=ストロース講義 (平凡社ライブラリー)

レヴィ=ストロース講義 (平凡社ライブラリー)