「闇の記憶」 DJ / KNEE DROP つづいてます。
《BOOK REVIEW》
中沢新一の「南方熊楠コレクション」について(3)
by DJ / KNEEDROP
その後34歳の時に、日本の粘菌をもっと調べたいと考え、和歌山に帰国後、森で暮らし陰花植物の調査を行う。
40歳で結婚。翌年熊弥誕生。
43歳、神社合祀に対して、反対運動をする。
エコロジー生態学、環境学の重要性を説く。
59歳の時、熊弥15歳、精神病を発病、この事は深い悲しみであったようです。63歳の時には、昭和天皇に田辺湾の神島で、植物学者として進講し、粘菌標本、110種を進献しました。 75歳で没。
伝記や評伝やコミックなどを読むと、仕事や業績よりも、人間そのものについて面白がられるエピソードがたくさんあります。熊楠自身が興味を持ち研究の対象とした学問は、生物学、宗教学、人類学、民俗学、哲学、文学、天文学、歴史、考古学です。学識の豊富さが伺えます。
そして、「南方熊楠コレクション」に収録されている著作のテーマがまたユニークで面白いです。
不思議について・因果と縁について・夢の研究・比較宗教論・仏教起源論・反進化論・美少年への愛について・霊魂・粘菌の神秘・人魚や山男の話など。その他、書簡も多数収録。
学問も抽象的要因で研究を許される様になった現代、熊楠の研究した学問は膨大で、江戸時代にあった宇宙観や一体感と中国の百科全書の原型が、体系としてある。
100年も前から、エコロジーを説いてきた熊楠、近代文明が営利を目的とし資本主義が急激に社会変革をしました。近代から日本も大切にしていたはずの倫理観や道徳、秩序を失ないました。
森、(自然)を破壊し続けてきた世界は今、エコロジーの問題で新しいヘゲモニー(主導権)を形成し、本当の意味でのヒューマンなソウルと、環境の立て直しが要求されている。
一台の顕微鏡を手に入れることによって、出発した熊楠少年の学問。
「学問とはこの宇宙で繰り拡げられるすべて、その様子を見て楽しむためにある」と、熊楠は語っています。
生前、大きく評価されることがなかった学者、南方熊楠も思想家、宮沢賢治同様、偉才な輝きを放つ。
宗教と科学を対峙しクロスさせ、宇宙全体のマクロやミクロを分析する事が新しい知性となり、地球を会得する事で、人間の可能性が創造の地平まで誘われ、生きる夜明けを見ることのように思えるのである。
(^o^)/~~(おしまい)
いわせだよりNO.108号 1992年7月執筆。
みなさんへ
『森のバロック』の本の第6章が森のバロックという章なんですが、
私はこの章がとても好きで、日本の中でもこの章の論文は1級の論文だと思います。
当時、この章を何度も何度も読みながら書店に勤務していました。
そして14年ぶりに講談社の学術文庫から新刊として発刊されました。
「日本の可能性の宇宙樹」という帯がせりか書房から`92に発売になったときの帯のフレーズでした。
なにもかも私にとっての初めての対称性を学んだ本でまさに思想としての文化人類学の出発点でした。
またいつかこの本を紹介させて下さい。 DJ / KNEE DROPでした。
- 作者: 南方熊楠,中沢新一
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2009/11/10
- メディア: ペーパーバック
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- 作者: 中沢新一
- 出版社/メーカー: せりか書房
- 発売日: 1992/10
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- 作者: 中沢新一
- 出版社/メーカー: 講談社
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"memory of darkness"